
消費者の元に届いていないことが課題となっている政府の備蓄米ですが、今、ひとり親家庭の支援で大きな役割を果たしています。しかし、その数にも限りがあり、秋以降のコメ支援は危機的な状況です。
■ひとり親家庭を支援している“備蓄米”
【県フードバンク推進協議会 小林淳 事務局長】
「ここはコメの保冷庫で、こちらが政府備蓄米。毎月8tほど送られてくる」
新潟県三条市の倉庫に保管されている備蓄米。農水省はこれまで、こども食堂に対し備蓄米を無償で交付していましたが、コメの高騰を背景に、今年初めて、その対象をフードバンクに広げました。
【県フードバンク推進協議会 小林淳 事務局長】
「本当に今、物価・コメの高騰の中、このタイミングで(備蓄米の交付に)踏み切っていただいたのは、本当にありがたいタイミングだったなと思う」
県フードバンク推進協議会には、去年からコメに関するひとり親家庭からのメッセージが増えていると言います。
【県フードバンク推進協議会 小林淳 事務局長】
「私どもに寄せられている中では『物価が高くなり、コメを食べられない日が多い』とか『物価高で収入が厳しく、コメが高くて買ない』という声が非常に多くなっている」
このほかにも『コメが高騰し、カップ麺の割合が増えた』など、子どもにコメを十分に食べさせてあげられていないという訴えが並びます。
各家庭に渡す際には、5kg袋に入れられる備蓄米。
【県フードバンク推進協議会 小林淳 事務局長】
「『5kg(のコメを)今、手に持ったんだ』という、その重さを実感されて、中には涙ぐむ方もいらっしゃるぐらい、本当にコメの支援というのは貴重」
■“コメ不足”で民間からの支援厳しく…
こちらのフードバンクには、合わせて50tの備蓄米が交付される予定ですが…
【松村道子キャスター】
「政府の備蓄米は8月までこの倉庫に届きますが、9月以降、ひとり親家庭にコメを届けることができるのか、それが今課題となっています」
政府による備蓄米の交付が8月で終了する一方で、現在、民間からのコメ支援は全くないと話す小林事務局長。その背景にあるのは…
【県フードバンク推進協議会 小林淳 事務局長】
「個人の農家の方々から、毎年8月~10月になるとフードバンクにたくさんコメの寄付があった」
しかし、その農家もおととしの不作から状況が変わっているといいます。
【県フードバンク推進協議会 小林淳 事務局長】
「なかなか個人の農家の方でさえ、余剰のコメを抱えているわけではないという(現状)」
県フードバンク推進協議会に登録しているひとり親家庭は去年5月の時点で8500世帯でしたが、去年10月には1万世帯を越えました。
【県フードバンク推進協議会 小林淳 事務局長】
「特に9月以降、年末というのはひときわ経済的に精神的にも厳しくなる。格差が肌に感じられる時期に入ってくるので、本当にこの9月以降、秋冬にかけて、どのように支援の物資を確保したらいいのかが一番の課題」