全国で熱中症による死亡相次ぐ…救急医に聞いた“熱中症”の予防法と対処法「熱中症患者はゼロにできる」

危険な暑さが続く中、全国で熱中症による死亡事例が相次いで発生している。熱中症は誰もが起こる恐れがあるが、熱中症患者をゼロにすることもできる。適切な予防法や応急処置について、救急科の医師に聞いた。

誰でも起こりえる熱中症

新潟県内では2023年、5月の集計開始から7月16日までに、すでに314人が救急搬送されている「熱中症」。

搬送された人のうち65歳以上の高齢者は半分以上を占めているが、成人も3割を超えていて、厚生連上越総合病院・田中敏春副院長は「年齢に関わらず誰でも起こりえる。自分は健康だから…病気をしていないから…今まで熱中症になったことがないから…という理由で熱中症が起こらないなんてことはない」と警鐘を鳴らす。

“屋外”と“屋内”で異なる熱中症の症状

熱中症は様々な場面で発生しているが、年齢区分が少年や成人は「屋外作業やレジャー・運動中」に、高齢者は「住宅」で発生頻度が高いと言う。

また、屋外で熱中症になる人は足がつる・しびれる・頭痛・吐き気・めまいといった症状を訴える一方、屋内で熱中症を起こす人にみられる症状は体温の上昇・意識の悪化などとなっている。

田中医師はこの理由について、「屋外で熱中症になる方は自身で体調の変化に気付いて人に助けを求めたり、医療機関を受診したりすることが多い。そういうことを言えない高齢者やお子さんは軽症の段階が分からないまま、一気に重症化する」と指摘。

「意識がない、体温が40度以上の高さで運ばれてくる患者は仮に病院で色々治療しても、命を救えなかったり、後遺症が残ったりしている」と話すが、命を助けるためには「早い段階で熱中症の症状ではないかと疑って医療機関に連れてくる。救急車を要請することで我々が治療できる場合が多い」と、早期の対処の重要性を啓発する。

熱中症の症状が出たら…重要となる早期の対処

熱中症の症状が出た場合の対処法としては、涼しくて風通しの良い場所に移動し、体温を下げるために太い血管が通っている首・わきの下・太ももの付け根に冷たいものを当てて横になることが早期の対処としては重要となる。

また、水分補給ができる場合にはスポーツドリンクなどを飲ませるほか、体に水を霧吹きでかけたり、うちわで仰いだりするのも効果的だ。

早期の対処で救急車が来るまでに話せるようになった、体温が下がって状態が改善したという人もいると言う。

熱中症は予防すれば「誰一人ならない」

症状の自己申告が難しい高齢者などの異変は家族がいち早く気付く必要があるが、田中医師は「熱中症は皆がしっかりとした対策を取れば、本来であれば、誰ひとりならないと医師として思っている」と話す。

熱中症を予防するために最も重要となるのが「水分補給」だと言う。

頭では分かっていても、なかなか適切に水分をとることは難しいことだと、田中医師は話す。

「暑い中では汗が出てもすぐに蒸発し、まるで汗をかいていない、のども渇かない、水分が欲しくない、という状況に陥りやすい。普段取っているくらいの水分で間に合うと思っていたような状況でも熱中症になって救急車で運ばれて来るケースがある。普段取っているよりも多めに意識的に水分を取る必要がある」

次に室内はエアコンをつけ、28℃前後に保つことも重要だ。

田中医師は「高齢者は冷たい風にあたるのを非常に嫌がるため、エアコンの設定温度を例えば28℃と下げなくても、扇風機で室内の空気を循環させること」を推奨している。

キッチンや風呂場、気密性の高いビルやマンションの最上階は温度が高くなりやすく、熱中症が発生しやすくなるので特に注意が必要だ。

車中での熱中症も多発 短時間でもエアコンを

また、車の中での熱中症も多発している。車の中は直射日光が当たり、外にいるよりも暑い。短時間であってもエアコンをつけずに車の中にいることは非常に危険だ。

田中医師は「新型コロナ禍でこの2、3年外に出ていなかった分、取り返そうと思って多くのレジャー・スポーツをする方が多くなる。暑さに慣れていなかった私たちの体は熱中症の危険が高まる。熱中症にならない人は世の中にいない。熱中症になるかもしれないと一人一人が自覚して、対策に努め、夏を過ごしてほしい」と呼びかけている。