動物に噛まれたら…最悪死に至るケースも  原因の9割は犬・重症化しやすい猫… 救命医に聞いた対処法

動物に噛まれた経験があるだろうか。皮膚に傷ができると感染症を引き起こす恐れがあり、死に至る場合もある。万が一、動物に噛まれてしまったらどう対処すべきか、救急救命医に聞いた。

患者の9割は犬が原因 死に至る場合も

動物に噛まれることで起こる傷を「動物咬傷(こうしょう)」と言う。

動物の口腔内には、多くの「細菌」が存在していて、噛まれて皮膚に傷がついたり、傷口をなめられたりして人間の体内に入ってくると、感染症などを引き起こす恐れがある。

動物の口腔内には多くの「細菌」

新潟市民病院 救急科 吉田暁 副センター長:
局所的なものであれば、噛まれた部分を中心にうみが出る、熱を持つ、痛みが出る、赤く腫れるということが起こりえる。全身のものであれば、全身性の熱が出てくる。菌が体にグルグル回って、敗血症という状態に陥ると、命に関わることもある

新潟市民病院・救急科の吉田暁医師は、動物咬傷の患者の9割は「犬」によるものだと指摘。

その犬が持つ細菌によっては、死に至る場合もあると報告されている。

新潟市民病院 救急科 吉田暁 副センター長:
犬に噛まれたのかどうかも分からないような傷で、数日経って熱が出てきて、残念ながら敗血症を起こし、カプノサイトファーガという菌で命を落としてしまった方を診たことがある

動物咬傷 患者の9割は「犬」

噛まれたら必ず感染症にかかるわけではないが、体の免疫力が弱っている状態であると、命に関わる危険性もある。

重症化しやすいのは猫による咬傷

杉山萌奈アナウンサー:
犬よりも感染しやすく、重症化しやすいのが猫。その要因が細い牙です

猫による咬傷の報告数は1割にも満たないものの、その細い牙により、感染率は犬の7倍にもなる。

新潟市民病院 救急科 吉田暁 副センター長:
傷が小さい穴でスッと奥まで入ることが考えられる。そして、歯には微生物がついていることがありえる。深い所に到達してしまい、傷が小さいので汚染物質が出て行きにくい。中で菌が繁殖しやすい環境が揃う

猫の噛み傷は犬に比べて細く、一見すると大した傷ではないように見えても深いため、細菌も深部に入り込んでしまい、ひどく腫れあがることが知られている。

動物に噛まれたらどう対処?

噛まれて傷ができたら、どう対処すればいいのか…

新潟市民病院 救急科 吉田暁 副センター長:
傷を見て、出血していれば圧迫止血。タオルで抑えて止血を試みる。そして、感染予防の観点から水道水でよく洗って、その後、落ち着いたところで早めの病院受診を検討してほしい

(Q.病院受診は腫れていなくても?)
新潟市民病院 救急科 吉田暁 副センター長:
動物に噛まれて腫れてくるのは早いもので数時間後、場合によっては、2~3日経ってから。予防的な治療であれば、抗生物質を使うことで感染症を防げる可能性がある一方で、感染が成立してしまうと、治療期間も長くなるし、関節に感染が及んでしまうと機能障害を起こし、後遺症をきたしてしまうこともある

傷を自分で判断せず病院受診を

傷が浅いか深いかを自分で判断することは難しいため、噛まれたら傷口を流水でよく洗い、腫れるなどの症状が出る前に必ず病院を受診し、噛まれたことを医師に伝えることが重要だ。

新潟市民病院 救急科 吉田暁 副センター長:
患者がしっかりとその情報を伝えてくれないと、普通の傷だと認識して治療を行ってしまう可能性がある。小さな傷であっても、微生物が入っていることを考えると、医師が切開して広げて洗浄が必要になるケースがある

特に注意すべきなのは、「接したことのない動物」や「野生動物」との触れ合い。

新潟市民病院 救急科 吉田暁 副センター長:
むやみに野生動物に近づかない。そして、野生でなくても動物と接するときは興奮させない。口の中にいる分には必要な微生物であっても、それが皮膚の中に入ってしまうと感染を起こす。人にとっては脅威となる。もちろん管理されている動物であれば感染は下がる可能性があるが侮れない。そういった意味で、野生動物の危険度はぐっと上がる

私たちに癒しを与えてくれる動物だが、触れ合う際には「予防法」や「対処法」も頭に入れておく必要がある。

海外では、人に感染すると致死率が高い「狂犬病」の報告もある。

動物から人に感染する病気は身近に存在しているため、小さい子どもとの接触は、保護者が十分安全を確保してほしい。