命名権を買うことで一定期間、企業などの名前を施設につけられる『ネーミングライツ』。スポーツ施設など多くの人が利用する施設で締結されるイメージがありますが、今回、新潟県長岡市でネーミングライツが結ばれたのは、なんと学校。その背景にある企業、そして学校側のねらいを調査しました。
■学校内のスペースごとに締結！企業のねらいは「人材獲得」
『デンカビッグスワン』や『エアマンスケートパーク』など不特定多数の人が利用する施設と結ばれるイメージの強いネーミングライツ。そのネーミングライツに今ある変化が！
今回、ネーミングライツを結んだのは約1000人の学生が通う長岡工業高等専門学校です。ネーミングライツは学校そのものではなく、学校内のスペースごとに締結されました。
産業用切削工具の製造・販売を手がける『ユニオンツール』がネーミングライツを取得した食堂は『ゆにおん食堂』に。そして、水と研磨剤を用いて対象物の表面を加工するウェットブラスト装置の専門メーカー『マコー』が取得したのは、なんと講義室の1室。
一体なぜ、限られた人しか利用しない場所のネーミングライツを取得したのでしょう？
【ユニオンツール 渡邉裕二 代表取締役社長】
「（Q．狙いは？）ものすごくストレートに言うと、人材確保というのが難しくなっている」
【マコー 浅井嘉久 代表取締役社長】
「高専の人材は我々としてもぜひ入社してほしい人材。ネーミングライツで我々のことを知ってもらう」
そのねらいは、人材の獲得にありました。どちらも長岡市に工場を持ち、長岡高専の卒業生も多く就職していますが、取引先は企業がメインで若者に対する知名度の向上が課題になっていたと言います。
【高専卒のユニオンツール社員】
「（Q．高専1・2年生のときユニオンツールという会社は知っていた？）知らなかった。就活をしていく中で徐々に知っていって、内容もその段階で知って、今に至るという感じ」
人材の獲得競争が激化する中、企業側は食堂や講義室に名前を掲げることで、早くから学生に企業を身近に感じてもらいたいと考えているようです。
【ユニオンツール 渡邉裕二 代表取締役社長】
「カタカナではなく、ひらがなを選んで柔らかい感じに考えてくれたかなと思う。ユニオンツールという堅いものを作っているので、イメージのほうは柔らかく」
部屋の入り口には愛称の看板が掲げられ、部屋の中には企業の紹介やキャッチコピーが書かれたパネルも設置。学生に企業の魅力をアピールしています。
【マコー 浅井嘉久 代表取締役社長】
「“人を磨き、人を創る”というのが我々のモットーなので、少しでもこのコメントが若いこれからの技術者に刺さればいいなと」
■学校側にもメリット「物価高の中ありがたいこと」
北信越地域の高等専門学校では初めてとなるネーミングライツ協定の締結。もちろん学校側にとってもメリットがあります。
【長岡工業高等専門学校 小林幸夫 校長】
「物価も上がっているし、光熱費もかかるし、大変になっていることは事実。それでも教室の質を落とさないようにというのは大前提なので、こういうネーミングライツで（資金が）入ってくるというのは非常に有意義なありがたいことだと思っている」
企業にとっても学校にとってもメリットのあるこの取り組み。長岡高専はほかの教室でもネーミングライツを取得してくれるパートナーを探していく考えです。
県内では新潟大学でもネーミングライツを募集していて、今後はこうした学校でのネーミングライツが一般的になっていくかもしれません。
最終更新日:Fri, 04 Apr 2025 19:11:48 +0900
