
1996年、今の新潟市西蒲区に位置する旧巻町で原発建設の是非をめぐり、全国初の条例に基づく住民投票が行われました。あれから約30年、4月16日、県議会では原発再稼働の是非を問う県民投票実施について審議が始まります。当時、住民投票実施に向け活動に当たった関係者は過去の経験を踏まえた議論を訴えます。
■原発建設めぐり旧巻町で行われた“住民投票”
東京電力・柏崎刈羽原発の再稼働の是非をめぐり、3月、県民投票の実施を求める市民団体が約14万3000人分の署名を県に提出し、県民投票条例の制定を直接請求しました。
条例案は4月16日、臨時県議会に提出され、注目の審議が始まります。
2011年の福島第一原発事故以降、原発に関する住民投票条例案は6都県の議会で審議され、いずれも否決されていますが、過去に市町村として住民投票を行った自治体が県内にあります。
【笹口孝明さん】
「原発問題はタブー視されていた中で、一部の関係者や利害関係者だけで進んでいくのではないかという不安感があった。そういう中で、原発問題は町民の考えをきちんと確認していく必要があると」
旧巻町の町長を務めていた笹口孝明さんです。今から30年前、旧巻町は東北電力巻原発の建設計画をめぐり揺れていました。
翌1996年、原発建設の是非について住民投票実施を求める会の立ち上げに携わった笹口さんが町長に当選。
【笹口孝明さん(当時)】
「巻町の将来は巻町町民、みんなで決めてください」
その後、賛成派・反対派が互いに活動を展開する中、全国初の条例に基づく住民投票が行われ、投票率は88%に。結果、約6割が反対し、原発建設計画は立ち消えとなりました。
【笹口孝明さん】
「原発賛成・反対を町民が決めることに町が混乱するという批判はあった。しかし、黙っていれば原発は自然とできていく。当時の状況から言って。自分たちで将来を決めたことに町民は充実感と満足感を持ったと思う」
■県民投票への思い「県民が明確な意思表示できる機会を」
一方、4月16日県議会で審議が始まる県民投票条例案をめぐり、花角知事は「二者択一の選択肢では多様な意見を把握できない」などとする慎重な意見を公表しています。
笹口さんは原発の再稼働には「するか、しないかの二択以外に選択肢はない。当時の町民のように県民一人一人が明確な意思表示をできる機会を実現し、禍根を残さないことが重要」だと強調します。
【笹口孝明さん】
「一人一人が自分の将来、子や孫の将来を考えながら結論を出して、再稼働するか、しないかを決める。それが正しい道。それならば自分たちが選んだ道だと責任が持てる、納得できることだと思う」
県民投票条例案は県議会で18日に採決されます。
最終更新日:Tue, 15 Apr 2025 18:46:42 +0900