国内でわずか2%未満…新潟空港拠点のトキエアで夢を叶えた女性パイロットの一日に密着「後悔のない人生を送れている」

2020年に『夢をあきらめるな。新しい挑戦の架け橋に』というメッセージを掲げ、誕生した新潟空港拠点の地域航空会社・トキエア。
NST新潟総合テレビ

2020年に『夢をあきらめるな。新しい挑戦の架け橋に』というメッセージを掲げ、誕生した新潟空港拠点の地域航空会社・トキエア。

現在は4路線を運航し、5月には佐渡空港と神戸空港を結ぶチャーター便を初めて運航するなど、挑戦を続けている。そんなトキエアに初の女性パイロットが誕生した。国内でも女性パイロットは2%に満たないとされる中、その一日に密着した。 

■かつては先入観も「パイロットは男性の仕事」

安部美咲さん

午前7時すぎの新潟空港。キャリーケースを転がして現れたのは、静岡県出身の安部美咲さん。トキエア初の女性パイロットだ。

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出社後、事務所に到着するとすぐに、白い翼が印象的なトキエアの制服に袖を通した。

「トップガンのトム・クルーズが着ているジャンパーを少し模したようなジャケット」

お気に入りのポイントを笑顔で話してくれた安部さん。

ただ、入社当初は男性用の制服しかなく、女性サイズの制服を作るのは会社として初めてのことだった。

2025年2月時点で、国内の女性パイロットの割合は全体の2%未満とされる。

幼い頃から飛行機が大好きだった安部さんも、かつては“パイロットは男性の仕事”という先入観を持っていたという。

その意識を変えたのは、小学生のときに海外の空港で目にした女性パイロットの姿だった。

「男性と同じ制服を着て、堂々とフライトバッグを持って歩く姿がかっこよかった」

その憧れが、長年追い続けた夢の原点になった。

■「仲がよくいい雰囲気」

ミーティング

夢を叶えた安部さんの一日は、慌ただしく進んでいく。

乗客数や天候の情報を確認したあと、同じ便を担当する機長と打ち合わせを行い、その後はフライトメンバー全員でのミーティングに参加する。

鷲尾紗由里さん

安部さんは「キャビン、乗員、ディスパッチも含めて仲がよく、いい雰囲気だと思っている」と話す。

取材中にも、機長が「分からないことはすぐに聞いてね」と声をかける場面があった。

乗客の命を預かる現場にとって、円滑なコミュニケーションは欠かせない。

この日、安部さんと同じ便を担当した客室乗務員の鷲尾紗由里さんは、「安部さんは明るくてコミュニケーションが取りやすい。お客様からも『きょうのパイロットは女性なんですね』と、アナウンスを聞いて声をかけていただくことがある」と、その存在を誇らしそうに語った。

■変わりやすい新潟の天気…“ほどよい緊張感”持ちフライトへ

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ミーティングを終えると、いよいよ機内へ向かう。確認作業は多く、移動は自然と早足になる。

この日の新潟空港は、朝こそ日差しがのぞいていたものの、次第に曇り空に変わっていった。

冬の新潟は天候が変わりやすく、パイロットの腕が試される。特に天気が悪い日の着陸では、滑走路が見えるか見えないかというぎりぎりの状況で機体を降ろすこともあるという。

安部さんは「キャプテンと確認しながら、ほどよい緊張感を持って楽しくフライトしてきます」と頼もしい表情でコックピットへ入っていった。

■タイトなスケジュールも「安全に送り届けることを何より大切に」

コックピット

コックピットでは、警告音が正常に作動するかなど、一つ一つのボタンを丁寧に確認していく。準備を終え、乗客を乗せると、いよいよ出発だ。

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この日、担当するのは名古屋行きの便。午前9時に新潟空港を飛び立ち、約1時間半後に中部国際空港へ到着する。

そして、正午には再び新潟へ戻るという、タイトなスケジュールだ。

名古屋での滞在時間はわずか30分。

それでも安部さんは、無事に新潟空港へ帰着すると「お客様を目的地まで安全に送り届けることを何より大切にしている」と穏やかに話した。

■体力面では苦労も「周囲がサポートできる」 女性パイロット誕生に期待

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安全を守るためには、日々の積み重ねが欠かせない。

パイロットは毎年、身体検査や技能チェックを受け続ける必要があり、安部さんも今なお勉強の毎日だ。

岡部正臣さん

一方で、体力面で苦労することもある。

例えば、エンジン停止を想定した訓練では操縦桿が重くなり、男性なら片手で支えられる場面でも、女性は両手で持たなければならないことがあるという。

それでも、教官の岡部正臣さんは「体力的に苦労する部分は周囲がサポートできる。女性パイロットの誕生は本当に喜ばしいことだ」と話す。

安部さんはすでに、トキエアにとって欠かせない存在。岡部さんは、安部さんに続く女性パイロットの誕生にも期待を寄せている。

■挑戦続ける女性パイロット「後悔のない人生送れている」

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男性か女性かという固定観念にとらわれず、自分の夢を追う。心に正直に挑戦を続ける安部さんの表情は、終始晴れやかだった。

「挑戦してみて、やはり難しいことや厳しいこと、つらいこともあった。でも、実際にこの職業に就いてみると、楽しいこともたくさんあった。後悔のない人生を送れていると思う」

そう語る安部さんの目は、まっすぐ前を見据えていた。

国内で女性パイロットはまだ少数派だ。

だが、パイロットに限らず、性別や固定観念に縛られずに職業を選べる社会になれば、将来の選択肢はもっと広がるはず。

安部さんの姿は、その可能性を静かに示していた。

最終更新日:Thu, 11 Jun 2026 05:00:00 +0900