港の埠頭“再編工事”めぐり紛糾…漁師たちは“カキ養殖”への影響懸念「水の流れ停滞すると壊滅状態に」 新潟・佐渡市

今年4月に着工予定の耐震化などを目的とした両津港にある埠頭施設の再編工事について、加茂湖でカキの養殖を行う漁師などからは影響を懸念する声が上がっています。

今年4月に着工予定の耐震化などを目的とした両津港にある埠頭施設の再編工事について、加茂湖でカキの養殖を行う漁師などからは影響を懸念する声が上がっています。

■両津港埠頭の“再編工事”に漁師たちは不信感

2月25日夜、新潟県佐渡市で開かれたのは…

【国交省新潟港湾空港整備事務所 奥田聡 副所長】
「4月から既設の桟橋を撤去し、新たな桟橋を設置する工事を開始する予定」

国と県が進めている両津港南埠頭の再編工事に関する説明会です。

参加したのは、両津港を通じて海水が流れ込む加茂湖の漁業関係者たち。

【漁師】
「私たちに説明もないし、機会も与えてくれない」

【漁師】
「工事をする上で、組合員との合意がちゃんと図れていないと思う」

工事による影響を懸念した加茂湖漁協はおととし、要望書を提出していますが「国・県からの明確な回答がない」と漁師側は不信感を口にします。

【県佐渡地域振興局地域整備部 長谷川文伸 副部長】
「岸壁を強化して、安心な島民の方々の暮らしを守るための大切な事業なので、皆様方のご理解をいただきながら、着実に前に進めていきたい」

漁師側も工事の意義自体は認めていますが、カキの養殖への影響を懸念する声が高まっています。

■カキ養殖への影響心配する漁師たち 施設整備などを要望

【加茂湖漁協 山本博文 組合長】
「ここまで水揚げ量が少ないのは、なかなか記憶にない」

去年1月の能登半島地震やクロダイによる食害などの影響を受け、今シーズンは記録的な不漁に陥っている加茂湖のカキ。

今後、工事が進み、両津港で埋め立てが行われれば、水質の悪化に加え、加茂湖と海つなぐスペースが狭まり、海水の流入・流出が制限されて、さらに水揚げが減少することを漁師たちは懸念しているのです。

【漁師】
「工事だけを先行されるというのは、私としてはいかんともしがたい。ぼちぼち、年も年だから、この稼業を閉じないといけないかなと思っている」

【漁師】
「加茂湖の水の流れがほぼストップ、停滞してしまうという状態になる。加茂湖のカキは壊滅状態になる」

このため、漁師たちは加茂湖に海水を引き入れるための水路や施設の整備などを要望しています。

【加茂湖漁協 山本博文 組合長】
「加茂湖の水流が失われることによって、加茂湖の環境・養殖環境というものが変わってしまうのではないかと。私たちは、ただでさえ自然相手のカキ養殖というところで苦しんでいるわけだから、やはり誠実な対応をしていただきたい」

ただ、工事の開始予定は今年4月。佐渡市民の暮らしを守るための工事ですが、漁師の理解を得られるのか不透明な状況が続いています。

【県佐渡地域振興局地域整備部 長谷川文伸 副部長】
「ご理解いただけないところもあった。宿題もいただいたので、そこをきちっと整備して、なるべく速やかに回答したい」

県は改めて3月に工事説明会を開催する方針です。

最終更新日:Wed, 26 Feb 2025 18:50:31 +0900