60年ぶり!新潟の玄関口“新潟駅”の改修進む…運休続く“米坂線”の今後は? JR東・新潟支社長が見据える展望

60年ぶりのリニューアルが進むJR新潟駅は、駅ビルのグランドオープンやバスターミナルの開業を控えている。新たな駅の可能性、そして2022年の豪雨により被災し、運休が続く米坂線について、JR東日本新潟支社長・白山弘子氏に聞いた。

大きな節目に女性初の新潟支社長!

建設工事が続いているJR新潟駅は、毎日のように姿を変えている。

新潟駅

新潟駅

駅舎を前に「未来に向けてどんどん進化しているのを実感する」と話すのは、2023年、JR東日本新潟支社長に女性として初めて就任した白山弘子氏だ。

JR東日本・新潟支社長 白山弘子 氏

JR東日本・新潟支社長 白山弘子 氏

新潟駅が60年ぶりにリニューアルするという大きな節目を前にした就任となった。

「こんな大きなプロジェクトは、そうそうあるわけではない。しかも、新潟の皆さんに非常に注目していただいてきた。関わる者それぞれが、お客様の笑顔・満足・地域の活力につながる仕事だと感じ、大きなやりがいを持ってやってきた」と、ここまでの歩みに思いを馳せた。

リニューアル進む新潟駅「魅力求められる」

「新潟駅の南北が分断されている」という大きな課題を解消すべく、新潟市がJR東日本などの協力を得て、2006年にスタートさせた新潟駅周辺整備事業。

2022年、ようやく整備事業の一つの要である在来線の高架化が実現。

2022年 在来線の高架化

2022年 在来線の高架化

駅構内のリニューアルも着々と進み、4月には新たな空間「ガタリウム」が誕生する。

「ガタリウム」イメージ(提供:JR東日本新潟シティクリエイト)

「ガタリウム」イメージ(提供:JR東日本新潟シティクリエイト)

新潟駅の1階と2階を吹き抜けでつなぐ「ガタリウム」。広さは760平方メートルだ。

白山支社長は「皆さんの集まりやすい場所になる。東京駅で言うと『銀の鈴』」と例え、新潟駅のシンボル誕生をアピール。

「ガタリウム」イメージ(提供:JR東日本新潟シティクリエイト)

「ガタリウム」イメージ(提供:JR東日本新潟シティクリエイト)

さらに、4月25日には駅ビル「CoCoLo新潟」がグランドオープン。

新潟初登場を含む20ブランド以上のコスメが選べるセレクトショップや様々な飲食店など、先行して開業している店舗を合わせ、約170店舗が出店する。

「2F EASTSIDE」イメージ(提供:JR東日本新潟シティクリエイト)

「2F EASTSIDE」イメージ(提供:JR東日本新潟シティクリエイト)

白山支社長は「新しい店舗・サービス・価値に触れていただくことで、新潟の皆さんの生活がちょっと豊かになる。これまでの駅は移動のための通過点だったが、今はそれ以上の機能や魅力が求められている。新潟駅も今、そのように生まれ変わろうとしている」と期待を込めた。

にぎわい創出へ「地域と一緒に取り組みを」

新たな新潟駅の可能性を語る白山支社長は、1993年にJR東日本に入社。

新潟支社長として地域のニーズを捉える際に、駅長時代の経験が生きてくると考えている。

「各駅には、お客様の層、混む時間帯の違い、季節の変化があって、その場所に合わせたオペレーションが求められる。そうした意味でエリアのサービスを考えるとき、地域の皆さんと向き合いながら色々と考えることは大切なことだと思っている」

これまでには、JR東日本新潟支社と地元商店街が共同で「スポーツゴミ拾い」のイベントを開催するなど、新潟駅と市街地のつながりをつくり出そうと試みてきた。

スポーツゴミ拾い(提供:JR東日本新潟支社)

「新潟駅は、やはり新潟の大きなシンボル。そこに注目してもらうための話題づくりを絶えずやっていきたい。ただ、我々が頑張るだけではにぎわいはつくれない。地域の魅力を発信するには、地域の情報をつくっていく人たち、地域の皆様との取り組みが重要だと思っている」

運休続く米坂線 地元自治体との協議は…

重視する「地域との取り組み」。その中で大きな課題となっているのが、2022年8月の豪雨で被災した米坂線をめぐる地元自治体との協議だ。

2022年 被災した米坂線

2022年 被災した米坂線

JR東日本は米坂線の復旧費用が86億円に上ると試算。

さらに、1990年から2020年の30年間で米坂線沿線の人口は2割減少、鉄道利用は7割以上減少しているというデータを示している。

JR東日本は米坂線について、復旧か廃線かの前提を置かずに、①復旧費用(負担割合)について②将来的な米坂線の安定運行の方策について、この2つを両輪で検討したいとしている。

一方、自治体側は2023年9月、JR東日本との初協議の場で米坂線の「早期復旧」を求めた。

新潟県交通政策局・太田勇二局長は、「米坂線は地域住民の通勤通学の重要な移動手段であり、山形・新潟両県を結ぶ広域ネットワークとしても非常に重要な役割を担っている。早期復旧は沿線自治体の総意である」と述べている。

米坂線の安定運行へ「自治体からも方策を」

人口減少が進む中、白山支社長は米坂線を安定運行するための方策を自治体の視点からも考えてほしいと強調する。

「乗って下さる方がいないと鉄道機能は果たせない。お客様が増えるための方策を、もちろん我々も考えるが、地域の皆様にも地域の問題として考えていただきたいと思っている」

地域が鉄道の存続を当事者として考える。そこに打開策は生まれるのだろうか。

白山支社長は「私たちが向き合っている問題は、アイデア一つで何かが変わるようなものではない。その簡単ではないテーブルにJRと自治体が一緒についているわけだから、そこは真剣に相互に議論していきたい。我々にはこれまでも地域と関わってきたという自負があるが、今、ローカル線の現状をめぐっては、各地で問題が非常に深刻になってきている。その中で、後ろ向きな議論ではなく、前向きに私たちの将来に交通や生活を残すため何をするのか…議論しなくてはいけない」

JR東日本は、23年度中に沿線自治体との2回目の協議を開催する方向で調整を図っている。

女性リーダー「しんどいときにチャンスが」

女性で初めての新潟支社長となったことについては、「意識はしていないが、どうしても『女性初』という言葉がついてくる。それくらい今、女性のリーダーが少ない」と現状を見ている。

「目の前のことに対し、がむしゃらに頑張ってきた結果、色んな人にチャンスをもらって今に至っている。女性に限らず、若い人たちには、ちょっとしんどいときにチャンスがあると考えてほしい。場数を踏むことでしか経験値は上がらないので」

信条としているのは「様々な技術・経験を持つ社員と徹底して議論し、信頼し合って一つの物をつくっていくこと」

地域との取り組みについても、その「議論」を追求する考えだ。