沈み込む床・歩くと揺れる住宅…“液状化被害”大きかった理由「砂による盛り土」【新潟市】

地震による液状化は新潟市中央区にも住宅が傾くなどの大きな被害をもたらしました。中央区での被害の裏には、盛り土に関する新潟市特有の事情がありました。
地震による液状化は新潟市中央区にも住宅が傾くなどの大きな被害をもたらしました。中央区での被害の裏には、盛り土に関する新潟市特有の事情がありました。

新潟市中央区女池3丁目。住宅が傾いたり、道路がうねっていたりと一部の地域に大きな被害が出ています。

【松村道子キャスター】
「電柱に設置されている住所の表示は本来かなり高い位置にありますが、今は目線まで非常に低い位置まで下がっています。電柱が1m近く沈みこんだことが分かります」

佐藤和義さんは液状化によって自宅が傾く被害に遭いました。

【松村道子キャスター】
「側溝も壁も隙間があるし、全体に押し出されていますね」

自宅の中では、ふすまは立てつけがゆがみ、支えがないと外れてしまいます。

【佐藤和義さん】
「ここ(土台が)下がっちゃった」

【松村道子キャスター】
「歩くだけでも揺れるし、沈み込む。歩くだけでも戸棚の中が揺れています」

【佐藤和義さん】
Q.生活していて気分は?
「やっぱり気持ちが悪い」

佐藤さんは60年前の新潟地震でも同じ場所で液状化被害に遭い、自宅を建て替えたと言います。

【佐藤和義さん】
「まぁ、困ったなと思う。この年になって地震にあっちゃって」

自治会長の久保田富夫さんがこの土地の成り立ちについて教えてくれました。

【女池新栄町第一自治会 久保田富夫 会長】
「私は、もうここに住んで60年以上になるので、ここは池の埋め立て地だと。液状化しやすい。新潟地震のときも相当すごかった」

国交省が作成した「液状化のしやすさマップ」。

女池3丁目を含む新潟市中央区の広い範囲が“盛り土造成地”として黒い点で示されています。新潟市の盛り土にはある特徴がありました。

【新潟大学 災害復興科学研究所 卜部厚志 教授】
「このマップのピンクで点々のところは、田んぼに砂を入れて宅地にしたという意味を示している」

新潟大学災害復興科学研究所の卜部厚志教授は、新潟市中央区や西区は「盛り土を砂で行っている地域が多い」と指摘。

【新潟大学 災害復興科学研究所 卜部厚志 教授】
「新潟の場合は、砂丘で砂がたくさんある。土地を新しくつくる時に砂をびちょびちょの所に入れているので、入れた砂の部分が液状化する可能性が非常に高い」

今回、中央区の中でも一部の地域に被害が集中した点については。

【新潟大学 災害復興科学研究所 卜部厚志 教授】
「昔、池だったという所だと、盛り土をいっぱいしているので、砂を。そういう所にザーっと砂を入れると、(砂が)厚くなる」

より多くの砂が盛り土として使われた地域に今回、被害が出た可能性があるとする一方、20年以内に建てられた住宅では、地盤に液状化対策を施している場合があると話します。

妻と暮らす住宅に大きな被害の出た佐藤さん。

【佐藤和義さん】
「何とか住めるだけは住めるから、あとどうするか…考える」最終更新日:Fri, 26 Jan 2024 19:05:34 +0900