「無理だなと思った」地震に原発事故…“複合災害”起きたら避難は?能登半島地震で不安の声

東京電力が再稼働に向けた準備を着々と進める中、能登半島地震を受け、原発事故を含む複合災害時の避難に不安の声が高まっています。
東京電力が再稼働に向けた準備を着々と進める中、能登半島地震を受け、原発事故を含む複合災害時の避難に不安の声が高まっています。

【長岡市 磯田達伸 市長】
「ここは一旦、立ち止まって、今までなかった論点も含めて、しっかり我々の中でこの議論をして」

2月6日、県内30市町村の原子力防災の担当者を集めた研究会で代表幹事を務める長岡市の磯田達伸市長が「立ち止まるべき」と話したのは原子力災害時の対応について。

【記者リポート】
「石川・輪島市、道路の損傷や規制が多く、皆さん30~40キロなどゆっくりと走行しています」

能登半島地震の被害状況が徐々に明らかとなる中、仮に原発で事故が発生していたら原子力災害対策指針や避難計画通りに対応できるのか…市町村の担当者から相次いだのは不安の声です。

【燕市の担当者】
「能登半島の状況をそのまま新潟県のUPZ・PAZにぽんとのせたときに、正月の1日から3日の間に誰が動けたんですかという話」

【長岡市の担当者】
「果たして安全に屋外待避・一次移転ができるのだろうか。そもそも無理ではないか」

原発からおおむね半径5km圏内のPAZでは、原発の冷却機能喪失などの緊急事態となった場合、全住民が避難。

半径30km圏内のUPZでは、屋内に退避することが原則として呼びかけられています。

今回の地震で石川県・志賀町にある志賀原発では、放射性物質が放出されることはなかったものの、PAZに位置する志賀町赤住地区では…

【志賀町赤住地区の住民】
Q.原発は頭に浮かんだ?
「一番に。だって、2階に上がれば炉や鉄塔が見えるぐらいのところにいるので。『バスで白山市の方まで逃げるから大丈夫』と言われるが、道路だってこうなったら行けない」

【志賀町赤住地区の住民】
Q.地震が来たらどこに行く?
「行けない。身動きが取れないでしょ?車も道路を走れないんだから」

【志賀町赤住地区の住民】
「果たして車で移動ができるかなと。今回、初めて『こんなの無理だったんだな』と思った」

原発事故が発生していれば、想定していたバスを使った避難は難しかったという声が上がります。

さらにUPZ圏内で呼びかけられる屋内退避も住宅の被災した状態では困難に…

【原子力規制委員会 山中伸介 委員長】
「屋内退避の問題ここはきちんと見直していかないといけない」

原子力規制委員会の山中伸介委員長はこう話した上で「複合災害時には自然災害の対応を優先し、避難所などへ避難した上で屋内退避を」と呼びかけますが…

【柏崎市民】
「車で移動した方が圧倒的に多かった」

【柏崎市民】
「車が渋滞して(避難所までは)なかなか着けない状態だった」

柏崎刈羽原発のある柏崎市では今回の地震の際、避難する車で渋滞が発生。避難所にたどりつくことが困難な状況も生まれていました。

こうした能登半島地震の状況も踏まえ、花角知事は原子力規制庁長官に現実に即した避難のあり方を検討するよう要望しています。

【花角知事】
「屋内退避の有効性とか人情として、少しでも危険から遠ざかりたいというところがあって、避難を始めてしまうというのが現実ではないのかと。そうした現実を踏まえた避難の考え方・指針というものを議論すべきではと、そうしたところを話した」

さらに大雪時の対応など原発災害時の避難をめぐる課題は山積み…

【参加した住民】
「大雪になったら、これができるのかなというのはある」

今後、柏崎刈羽原発の再稼働議論が本格化していきますが、その前提として有効な避難計画の整備が求められます。最終更新日:Thu, 15 Feb 2024 19:41:24 +0900