
東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票条例案を審議する臨時県議会が開会しました。花角知事が「二者択一の選択肢では多様な意見を把握できない」などとする意見を付け条例案を提出。条例制定を請求した市民団体側は「再稼働にイエスかノーか正面から県民に問うべき」と意見を述べ審議が始まりました。
■県民投票の実施は…審議始まる
16日の新潟県議会、受付には多くの人の姿が。
【記者リポート】
「臨時県議会の開会を前に多くの傍聴人が集まっています。原発を巡る県民投票の行方関心の高さがうかがえます」
市民団体のほか、東京電力の関係者の姿なども見られ、傍聴席は満席に。注目の臨時議会の開会理由が…
【花角知事】
「東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に関する新潟県民投票条例制定の直接請求が提出されたので意見を付け付議する」
柏崎刈羽原発再稼働の是非を問う県民投票条例を巡っては、2013年にも市民団体の請求を受け、県議会で審議されましたが否決。この時を含め福島第一原発事故以降6都県で同様の住民投票条例案が否決されています。
一方で今回、県民投票の実施を求める市民団体は当時の2倍以上となる約14万3000人分の署名を提出。また、政府が地元に対する再稼働圧力を強めるなど前回とは状況が異なる中議論の行方が注目されています。その臨時議会冒頭、花角知事は「二者択一の選択肢では県民の多様な意見を把握できない」などとする知事意見を付けたうえで条例案を提出。
これに対し、条例制定を請求した市民団体側が意見を述べました。
【県民投票で決める会請求代表者 水内基成弁護士】
「現状の情報を適切に県民に開示し、現状での再稼働にイエスかノーかこれをこれを正面から県民に問うべきではありませんか」
■「二者択一の選択肢」が議論に
その後、参考人として地方自治に詳しい新潟大学の今本啓介教授が住民投票の意義や問題点などを説明したあと、各会派による質疑が行われました。議論になったのは知事が課題と指摘した「二者択一の選択肢」について。
【自民党県議団 中村康司県議】
「わが党も県民の多様な意見を把握できないという意見は全くの同感」
【未来にいがた 樋口秀敏県議】
「出す結論は再稼働を認めるか認めないか二択以外にない」
花角知事は、原発再稼働問題は国の経済や地球温暖化対策など複雑な問題が絡むとした上でこれまでの考えを繰り返しました。
【花角知事】
「条件付きで賛成する、条件付きで反対をするというそういうご意見や県議会でやはり議論し、結論を出すべきだといった意見も県には寄せられている。私は判断をする前提として県民の多様な意見を確認して行きたい、見極めていきたいが、この投票では得られるものが限られる」
また県は、県民投票を実施する場合、8億円以上の経費が掛かるとの試算を示し、花角知事は費用対効果は限定的との認識を示しました。
では、知事は県民投票以外にどのような手法で県民の意思を確認するのか考えを問われると…
【花角知事】
「さまざまな手法が考えられるが現段階で決めているものはないいずれ適切に判断したいと思っている」
きょうの議論を終え市民団体は…
【県民投票で決める会請求代表者 水内基成弁護士】
「県内全域で感情論ではなく、意思表示をさせてほしいと署名が集まって本請求をしている。そのことを全く受け止めない議論。不満ちょっと怒りを感じたというのは私の率直な気持ち」
県民投票条例案は18日に採決されます。
最終更新日:Wed, 16 Apr 2025 19:06:14 +0900