
豪雨で被災した米坂線の復旧をめぐり、JRと自治体が協議を続けていますが、ローカル路線の維持が全国的に大きな課題となっていて、地方からは国の対応を求める声があがっています。
■“ローカル線の維持”要望「被災したら復旧を大前提に」
4月9日、広島県の湯崎知事などが首相と面会し手渡したのは、新潟県を含む29道県の知事が名を連ねた要望書。
ここで訴えたのは、鉄道のローカル路線の維持です。
【山口県 村岡嗣政 知事】
「災害のあとに、まずあり方検討に行きがちになっているが、被災したときには復旧というのをまずやるのが原則だということを強く打ち出していただきたい」
中でもクローズアップされたのは、被災したローカル線の維持について。
【JR東日本新潟支社 白山弘子 支社長】
「やはりJR東日本が単独で運営を担うのは、経営の観点・持続性の観点から難しいものがあるというふうに考えている」
新潟県内では、2022年の豪雨で被災し、現在も一部区間で運休が続く米坂線について、JR東日本が復旧費用や利用率の低迷などを理由に単独での運営は難しいと表明。復旧は進まず、沿線自治体などと今後の米坂線のあり方を検討しています。
【広島県 湯崎英彦 知事】
「災害が起きた場合に、それを一つのきっかけとして“あり方検討に入りましょう”ということが起きているが、まず災害があった場合には復旧するというのが大前提にあって、その上で議論するべきじゃないかと」
災害のあと、被災地で相次ぐローカル路線のあり方を見直す動き。
【石破首相】
「道路は災害があったらすぐに復旧するのに、鉄道の場合には、これをきっかけとしてあり方を見直そうみたいな話になるので、なんでこんなに違うんだろうという感じがしている」
■「JR単独での運営難しい」自治体側の負担大で協議難航
ただ、石破首相はほかの公共交通との違いも指摘します。
【石破首相】
「鉄道会社だけが上も下も全部やれと、なぜ鉄道だけこうなるんだろうと根源的に思っている」
バス会社はバスの運行を担いますが、そのバスを走らせる道路をつくることはなく、航空会社も飛行機を飛ばすための空港をつくることはありません。
一方、鉄道会社は列車の運行に加え、線路の維持管理も担っています。
【JR東日本の担当者】
「民間企業としての持続可能性の観点から、鉄道を被災前と同じような形で運営することは非常に難しい」
JR東日本が米坂線のあり方を検討する中で示した4つの運営パターンの中には、線路などを自治体が保有する上下分離式が含まれています。
JRによる従来の運営以外のパターンでは、自治体側の費用負担が大きくなるため協議が難航しているのが現状です。
【石破首相】
「知事と国との話を一回、このテーマに絞ってやりたいと思っている」
過疎高齢化により地方の鉄道の利用者が減少する中、鉄道ネットワークをいかに維持していくのか今後、国と自治体の協議の場が設置される見通しです。
最終更新日:Fri, 11 Apr 2025 18:57:38 +0900