

梅雨時に役に立つ身近なコインランドリーだが、全国の店舗数はこの30年で2倍に増えていて、新潟県内でもバラエティーに富んだ店が増えている。洗う場所から過ごす場所、そして地域を支える拠点へと変わりつつあるコインランドリー事情を取材した。
“カフェ”併設のコインランドリー

マンションが立ち並ぶ新潟県長岡市干場地区にあるスッキリした外観の店舗。

経営するのは長岡市で設備工事などを手掛ける大新産業の笠井一昭社長だ。
「こちらのコインランドリーは、みなタッチセンサーになっていて、手をかざすだけで操作できる」

非接触型の操作パネルやキャッシュレス決済を導入した最新鋭の機器が自慢のコインランドリーかと思いきや…隣ではコーヒー豆の焙煎機が稼働している。
この店は『jab jab&Come sta?』。新鮮な豆を使ったコーヒーを提供するカフェを併設したコインランドリーだ。
大新産業が新型ウイルス禍の補助金を活用し、2022年にオープンした。
笠井社長は以前からカフェの経営に興味があったが、カフェだけでは売上が見込めないと考えていた。
コインランドリーを併設した理由については「たまたま私の知り合いにランドリー機を販売している人がいた。干場地区は長岡市内でも人口密度が高い部類に入ると聞いたので、コインランドリーをやってみようと思った」と話す。
明るく開放感ある店内にこだわりの自家焙煎コーヒー

主な顧客となる近隣住民を引き付けるため、笠井社長はおしゃれさと清潔感にこだわった。

「店内は柔らかい雰囲気を出すため、木目調を基調としていて、格子を取り入れている」
店内は吹き抜けとなっていて、明るく開放感がある。
カフェで使う焙煎機はディスプレイを兼ねて窓際に置いた。焙煎機の煙突を吊るす金具は、本業の設備工事で使う配管にシャープなデザインを施して設置。

そして、自家焙煎するコーヒーは豆にこだわっている。
店のスタッフ、布施千夏さんは「コーヒー豆は7種類揃えていて、期間限定で1、2種類増えることがある。お客様の好みに合わせて深煎りから浅煎りまで取り揃えている」と説明する。
こだわりの詰まったおしゃれなカフェで洗濯待ちの時間を有効活用できると、利用者の評判も上々のようだ。
女性客は「すごく使いやすくて割と来ている。カフェがついているので、待ち時間にお茶とか、スイーツとか食べながら待てるのが素敵だと思う」と話す。
オープン4年目で初の黒字見込み「併設で倍以上の効果」

ランドリーの売上は徐々に増えていて、オープンから4年目の今年は初めて黒字になる見込み。カフェの売上もSNS効果により今年に入って伸びているという。

笠井社長は「ランドリーとカフェ、1店舗ずつでも勝負できるように力を注いできた。併設していることで倍以上の効果を生み出せたかなと思っている」と手応えを語った。
コインランドリーは1996年度には全国で1万店あまりだったが、2025年度には約2万6500店とみられている。約30年で2倍以上に増えた計算だ。
“災害”対応型ランドリー「発電や炊き出しができる」

店舗の増加により競争が進む中、利便性だけでなく、いかに付加価値を生み出すかも重要となっている。

商業施設を中心に全国展開するブルースカイランドリーが設置を進めているのが『災害対応型ランドリー』だ。
ブルースカイランドリーの店舗を運営するビーエスエル(本社・名古屋市)の松村吉貴さんに、長岡市の店舗で話を聞いた。

「店舗の裏手には災害対応型ガス栓ユニットがある。災害時にはこれを経由して、発電や炊き出しをすることができる」
災害対応型ランドリーは、店舗の乾燥機などで使うLPガスを活用する。
倉庫内にポータブル発電機や大釜などを備えているため、いざというときに携帯電話などを充電でき、ガスでお湯を沸かし、温かい食事を作ることもできる。
災害時「店舗が避難先の一つに」

ブルースカイランドリーは新潟県内では中越地方を中心に11店舗を展開。すべて災害対応型だ。

なぜ災害に対応できるようにしたのか。
きっかけは2019年、千葉県などに大きな被害が出た台風15号だった。停電を免れたブルースカイランドリーの店舗に、停電した地域の住民が数多く訪れたという。
松村さんは「多くのお客様が洗濯に困って来店された。その経験から有事の際にも地域のために役立つランドリーが必要と感じ、災害対応型ランドリーの導入を開始した。店舗が避難先の一つになることを目指している」と語る。
洗濯の待ち時間を楽しむ場所に、そして災害時には地域を支える拠点に。身近なコインランドリーは暮らしに寄り添う場所として今後も広がりを見せそうだ。
最終更新日:Sun, 12 Jul 2026 10:05:00 +0900




