【記者リポート】
「クマに襲われた男性はホースで畑に水やりをしていた際、クマに襲われたということで、こちらの家と小屋の間にあるスペースでクマにあらがっていたということです」
９月３日、南魚沼市長崎で７０代の夫婦が体長約１ｍのクマに襲われました。
クマが襲ってきたのは、県などが外出を控えるよう警戒を呼びかけていた早朝の時間帯…。
【被害に遭った阿部正明さん】
「（水やりをしていたら）クマがいきなり立ち上がってきて、私が崩れて、この辺を噛まれた。上で噛まれたのか、下で噛まれたのか、よく覚えていない」
被害の状況をこう振り返るのは、阿部正明さん（７０）です。
【被害に遭った阿部正明さん】
「小さいころ、クマが見えたよという話はあっても、人に向かってくるクマは初めて。ニュースの向こうの話だと思っていた」
阿部さんを助けに来た７１歳の妻もクマに襲われたことから、助けようとクマを引っ張り、腕などを押さえつけたという阿部さん。この時、ある違和感を感じました。
【被害に遭った阿部正明さん】
「本当に肉がない。毛なんかボサボサ」
その原因となっているのが…
【新潟大学農学部 箕口秀夫 教授】
「クマのエサ条件は非常に劣悪」
今年はブナの実など、クマのエサが凶作。１１月１０日、新発田市の牛舎では…
【目撃した女性】
「正直びっくりした。クマがとても痩せていた」
痩せたクマが夢中になってウシのエサを食べていたところが目撃されています。しかし、クマはやせ細っていても、危険であることには変わりません。
【被害に遭った阿部正明さん】
「ほうれい線の跡みたいに膨らんでるところ。ここらへんは、カミソリを使っても感覚がない」
阿部さんの体には、クマに襲われた時の傷が生々しく残っていました。阿部さんは被害後、自宅で様々な対策を講じています。
【被害に遭った阿部正明さん】
「ドアのここも、おまじないみたいに、チリンチリン」
ドアの出入り口にはクマ鈴を設置したほか、外で作業をする時には、ラジオをつけっぱなしに。
また、地域内には獣道もあったことから、周辺住民で話し合い、草刈りをして整備しました。
県内だけでなく全国でも相次ぐクマ被害。被害者にならないために阿部さんは当事者意識を持つことが重要だと呼びかけます。
【被害に遭った阿部正明さん】
「ニュースを見て、他人事と思わないで、ラジオをかけたり、朝・夕は外出しなかったり、シャッターを閉めるようにしたり、一つ一つつぶしていくしかない」
今年度、県内では１１月１３日までに目撃・痕跡件数が１１５７件報告されていて、人身被害は８件・９人に上っています。
寒くなり、クマの冬眠の時期も近づいてはいますが、同じように木の実が凶作だった２０１９年と２０２０年には１２月にも人身被害が出ていました。引き続き、クマへの警戒が必要です。最終更新日:Tue, 14 Nov 2023 18:47:38 +0900
