福島第一原発事故から13年…新潟市“放射性汚泥”の処分が完了 当時は混乱・東電に引き取り求め膠着状態続いた時期も

2011年の福島第一原発事故の影響で、新潟県内では浄水場で発生した放射性物質を含む汚泥が保管されています。事故から13年あまり経ち、そのうち新潟市が管理していた汚泥の処分がようやく完了しました。

2011年の福島第一原発事故の影響で、新潟県内では浄水場で発生した放射性物質を含む汚泥が保管されています。事故から13年あまり経ち、そのうち新潟市が管理していた汚泥の処分がようやく完了しました。

■新潟市 “放射性汚泥”の処分完了

新潟市江南区の阿賀野川浄水場。新潟市が管理する施設です。

【記者リポート】
「放射性物質を含む汚泥を置く保管庫となっていた場所。以前は雨風をよける屋根も設置されていましたが、今はその屋根も取り払われ、中は何も残っていません」

この場所では以前…

【記者リポート(2017年)】
「本来は浄水の過程で出る泥を乾燥させるための施設の一角に、汚泥を保管しています。浄水作業の支障になっているということです」

2011年の福島第一原発事故のあと、福島県から流れる阿賀野川の水を引く県内の浄水場などでは放射性物質を含む汚泥が大量に発生。この放射性汚泥をめぐり、当時、混乱が生じていました。

国はセシウム濃度が1kgあたり8000ベクレル以下の廃棄物については、通常の処分を認めていましたが…

【泉田知事(2013年当時)】
「(埋め立てなどの処理で)健康被害を受ける人が出れば傷害。分かってやっていたら、もう殺人に近いんじゃないですか」

当時、県は汚泥の処分はせず、事故を起こした社会的責任として東京電力に引き取りを求め、その方針に自治体も従う形で膠着状態のまま保管が続けられました。その後…

【米山知事(2017年当時)】
「そもそも、新潟市などが自らの判断で行えることなので、その判断を尊重させていただきたい」

地域住民の不安も募る中、新潟市では2018年から8000ベクレル以下の汚泥について、県外の管理型最終処分場への搬出を開始。

その後、阿賀野川浄水場には、自治体の判断で処分することができない1kgあたり8000ベクレルを超える濃度の汚泥522tが残っていましたが、去年、環境省が再測定した結果、濃度の低下が確認されたことから今年8月に搬出を再開し、11月27日に作業が完了しました。

【阿賀野川浄水場 佐藤孝行 場長】
「地域住民の方、皆さん心配してくださいまして、処分に向けた働きかけも一緒にやっていただいたことで、この度、処分できた。引き続き、安心な水道事業の運営に努めていく」

新潟市によりますと、処分費用は約7000万円で、全額を国の補助金でまかなうということです。

■県内に残る放射性汚泥 処分の目途は立たず

阿賀野川浄水場では、すぐ隣に小学校もあり、地域住民から汚泥の保管に不安の声が寄せられていたということですが、原発事故から13年あまりが経ち、ようやく処分が完了したことに市の関係者も胸をなで下ろしていました。

一方、新潟市のほかにも、県内ではいまだ1kgあたり8000ベクレルを超える放射性汚泥が420t保管されています。

これは指定廃棄物として国の管理のもと保管が求められていて、環境省によりますと、処分の目途は立っていないということです。

不安の解消に向けた国の対応が求められます。

最終更新日:Tue, 03 Dec 2024 19:05:35 +0900